当院の歴史

開院から現在まで

昭和53年第1回増改築後の医院外観(19床)

当院の歴史は、昭和46年3月3日に定永正明医師(初代院長)が宮崎市の現在地に「定永耳鼻咽喉科・気管食道科・麻酔科」として13床の有床診療所を開院したことに始まります。当時は宮崎県に耳鼻咽喉科医院が多くない時代であり、開院当初から外来患者さんは連日200人を優に超え、同時に開始した耳鼻咽喉科手術も1年間に800例以上の症例を一人で行う必要のある厳しい時代でした。当時から初代院長の方針で、完治をめざした手術治療の重要性を自覚し、多くの手術の必要な患者さんが遠方から集まってくる診療所として、微力ながら宮崎県の地域医療に貢献を続けてきました。定永正明は約30年間、初代院長として診療を続け、その間に行った耳鼻咽喉科手術は1万4千例を超えています。平成11年より定永正之が2代目院長として医院を承継、難治性のアレルギー性鼻炎治療をより一層強化した治療方針を加え現在に至っています。令和3年3月、定永耳鼻咽喉科は開院50年の節目を迎え、半世紀にわたる診療の歴史に時代のニーズに即した新しい治療方針を書き加えながら、宮崎県および九州圏内の患者さんの完治への期待に少しでも応えるべく日夜、努力と研鑽を続けています。

アレルギー性鼻炎手術の変遷

アレルギー性鼻炎の手術治療1-50年前の手術治療-

当院の初代院長、定永正明医師は、開業当初より50年間にわたり、この重症のアレルギー性鼻炎に対する手術治療を追求し続けてきました。50年前は全身麻酔が現在ほど普及しておらず、ほとんどすべての鼻の手術が局所麻酔で行われていました。さらにまだ内視鏡も開発されていなかったため当院では、裸眼や顕微鏡を使用した上顎洞経由のアレルギー性鼻炎手術が多く施行されていました。当時、ヴィディアン神経切断術と呼ばれた手術です。これは昔のちくのう症の手術の方法で歯ぎん部より切開し上顎洞を開放してその空間の後部にあるアレルギーの神経(ヴィディアン神経)を切断する手術でした。切開が大きく、切断するアレルギーの神経の抹消に涙を分泌する神経があったため涙の分泌がわるくなるなどの後遺症が残る人がいましたが、アレルギー性鼻炎に対する効果は劇的であり、この手術で当時、苦しい鼻の症状から解放された患者さんも多くいました。初代院長の定永正明医師は、当時、個人の手術症例数としては国内で1.2を争うほど多くのヴィディアン神経切断術を実施していました。ただ当時は局所麻酔という制限のために、その症例のほとんどが成人であり、さらに涙の分泌の問題、歯ぎん部を切る必要があることなどから、まだ小児のアレルギー性鼻炎に対する手術は十分に実施されていたとは言い難い状況でした。その中で同医師は、多くの重症のアレルギー性鼻炎の患者さんと向き合い、手術治療によってつらく苦しい慢性の鼻づまりや鼻水を完治に導くことを目標に、途切れることなく数多くの手術を続けてきました。初代院長が30年間の在任時代に実施した鼻の手術は約1万例を超えます。

アレルギー性鼻炎の手術治療2-2021年現在の内視鏡手術-

鼻の手術に内視鏡が導入された1990年代の後半より内視鏡下にヴィディアン神経の末梢の神経を切断する手術方法が開発され、アレルギー性鼻炎の手術は裸眼による歯ぎん部の切開から鼻の穴から内視鏡を入れて行う画期的な鼻内の小切開手術へと変遷を遂げていきました。
平成11年に現院長が当院を承継しましたが、開院より初代院長が30年間続けてきたアレルギー性鼻炎に対する手術治療は途切れることなく引き継がれました。この頃、患者さんの負担軽減のために手術に全身麻酔が導入されました。さらに2F手術室フロアの拡張、手術室2室の新設、病棟、診察室など院内の大規模な増改築をおこない、時代に即したより高度な医療の提供が可能な体制が作られました。内視鏡手術に必要な多くの手術デバイスの導入も行われました。多くの内視鏡手術症例数の蓄積とともに手術方法の改良も加えられ、現在当院で日常的に行われている内視鏡によるアレルギー性鼻炎手術へと変遷を遂げていきました。その間に現院長は、自己の修練だけでなく、国内の多くの医師の薫陶を受ける機会があり、その技術は現在の手術治療に生かされています。現院長は平成11年から令和3年に至るまで多くの鼻の手術を行い、その数は8千例に達しています。また当院独自の手術治療法の開発も行い、その結果は日々のアレルギー性鼻炎診療に生かされています。
当院は今も、アレルギー性鼻炎を完全な治癒へ導く方法を模索し続けています。

沿革

昭和46年3月初代定永正明医師が現在地に「定永耳鼻咽喉科医院・気管食道科・麻酔科」を開院
13床の有床診療所
昭和53年第1回増改築 鉄筋コンクリート4階 19床の有床診療所へ
定永正明医師は初代院長として約30年間勤務
在職中、耳鼻咽喉科手術を1万4千例以上執刀
平成11年2代目院長 定永正之が当院承継
全身麻酔導入 麻酔科医師招聘開始
平成13年第2回増改築
2F手術室フロア新設、手術室2室体制へ
病室19床全改修
外部医師招聘制を導入(複数の耳鼻咽喉科医師、麻酔科医師)
平成15年ヘリカルCT導入
平成21年コーンビームCT(CBCT)導入
令和3年3月開院50年
総手術症例は2万4千例以上へ