2022年10月




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診療時間:火・金・土
午前:9:00〜12:00 / 午後:14:00〜18:00
水・木曜日は手術日です。

急性鼻炎 

急性鼻炎の多くは、いわゆる鼻かぜと同じと考えてよいでしょう。大部分がかぜのウイルスによって引き起こされます。
代表的なウイルスとして、ライノウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、コロナウイルスがあります。ウイルス感染に合併して細菌感染を生じることもあります。

ウイルス感染によって急性鼻炎が長く続くと、多くは鼻づまりから細菌感染が起こり、副鼻腔炎を起こしてきます。
副鼻腔炎は90%がウイルス性と言われますが、多くの場合、のちに細菌感染を併発してウイルスと細菌の混合感染になります。

鼻粘膜にウイルス感染が起こると、炎症メディエイターであるヒスタミン、ブラジキニンが放出され、この2つによって、三叉神経終末の刺激反射による鼻腺分泌亢進と毛細血管からの血漿漏出が起こります。
そのため、鼻水が大量に出てきます。これが急性鼻炎の正体です。
急性鼻炎の鼻水は、水様性で無色透明です。

子どもの鼻水

子どもさんが鼻水をずるずるしています。
熱はなさそうですが、とにかく鼻水が出ています。色は透明です。のどもぜろぜろして、機嫌が悪そう。
こんな時、お母さんたちは、どうするでしょう。熱がないからとりあえず様子をみる。熱がなくても小児科や耳鼻科に連れていく。もちろん、どちらも正解です。子どもさんの具合とお母さんの希望で決めて良いのです。でも、どちらの場合も、子どもさんの鼻水をお母さんが吸ってあげてください。とくに小さい子どもさんは、自分で鼻をかむことができません。鼻水が出ていると、出たままになります。子どもさんの鼻腔は狭いので、副鼻腔炎を起こすと膿性の鼻水がのどへ落ちてきます。細い気管支に流れ込んで、気管支炎を起こし、ぜろぜろするのです。この時の咳は、湿性(湿り気のある)の咳です。痰がからんだ咳をします。
この状態の子どもさんが、外来には非常に多く来ます。

どんな鼻水?

水っぽい鼻水、どろっとした黄色い鼻水、どちらもお母さんは心配されます。
風邪のウイルスによる水っぽい鼻水は、ウイルス感染が治まると自然に治ってきます。治りかけに一過性に黄色い鼻水が出ることがありますが、そのまま治ります。
問題は、水っぽい鼻水が長く続いて、副鼻腔炎を起こしたときです。黄色や緑っぽい色のどろっとした膿のような鼻水がずるずる出てきます。のどの方へも流れてきて気管支炎の原因になります。

鼻水の治療は?

では、治療はどうすれば良いのでしょう。
子どもさんの鼻水の治療は、まず吸引してあげることです。これが一番重要な治療になります。小さな子どもさんは自分で鼻をかむことができませんから、吸ってあげるのです。

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鼻吸引器には、たくさんの種類があります。web上には多くの良い商品が売られています。とくに医療用にこだわる必要は全くありません。価格の高いものでなくて十分です。希望と用途によって、お好きな商品を選んでお使いください。webサイトの1例をお知らせしておきます。

(2022年5月) 
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他にもいろいろなwebサイトがあります。ご自身でお調べください。

何のために?

鼻水が出て、鼻吸引の治療がベストなことは理解できました。でも一体何のために、鼻の吸引が必要なのでしょうか。

その1番の理由は、口呼吸を回避して、正常な鼻呼吸を取り戻すことです。
鼻呼吸の必要性と口呼吸の弊害は、繰り返し述べても述べても、決して言い過ぎではありません。
以前に書いたトピックスです。
ぜひ、お読みください。

鼻づまり

口呼吸

鼻水が出ると…
お母さんは心配です。
(イメージです。)

アデノイド

アデノイドという病気を知っていますか?
アデノイドは、子どもの鼻の奥、突き当たりのところにある扁桃腺の一部です。
目に見えないアデノイドは、じつは子どもさんにとても大きな影響を与えています。
今回は、アデノイドについて知ってください。

アデノイドはどこ?

扁桃腺と聞くと、のどの奥、左右に見えるごつごつした半球状の塊を思い浮かべます。でもじつは、子どもさんの鼻の奥にも存在しています。鼻の奥の扁桃腺を咽頭扁桃と言い、アデノイドと呼びます。医学名は、adenoids と書きます。疾患名は、アデノイド増殖症 adenoid vegetation と言います。
アデノイドは鼻とのどの堺の部分、解剖学的には上咽頭という場所にあります。(図1)

図1 アデノイドは上咽頭にある


では、アデノイドは、一体何のためにあって、何をしているのでしょう。

アデノイドの役割

アデノイドは、何のためにあるのでしょうか。アデノイドは、組織学的には扁桃腺ですから、扁桃のはたらきをします。
外界からの細菌やウイルスの侵入があると、アデノイド表面のリンパ上皮共生で、上皮細胞、M細胞や樹状細胞などが抗原を取り込み認識して、上皮直下のリンパ濾胞でナイーブT細胞の誘導、活性化やB細胞の抗体産生、免疫記憶などの免疫応答を行なって体を防御します。
医学的には、粘膜関連リンパ装置(mucosa-associated lymphoid tissue : MALT )と言います。
すこし難しく書きましたが、要は感染防御のためのリンパ組織なのです。
人の体では、アデノイド、のどに見える口蓋扁桃、舌の後ろの舌根扁桃を合わせて、円周状のリンパ組織が形成されています。これを”ワルダイエルの扁桃輪”と言います。
この円周状の扁桃輪は、細菌やウイルスなどの侵入に対して、生体を防御する防波堤のはたらきをしています。
アデノイドは正式名称を咽頭扁桃と言い、ワルダイエル扁桃輪の一部分を担っています。

リンパ上皮共生 : 扁桃表面の上皮細胞の間隙に、炎症がないのにリンパ球が浸潤している状態 アデノイド(咽頭扁桃)にも見られる上皮構造

M細胞 : Microfold 細胞 
腸管上皮や扁桃に存在する、抗原提示細胞

アデノイドの大きさ

アデノイドは、年齢による生理的変化をします。
アデノイドは生まれたときは小さく、2歳頃から大きくなり始め、4-5歳ごろに最大になり、成長とともに小さくなります。成人ではアデノイドはほとんどありません。
アデノイドは、鼻とのどの境目で大きくなるため、物理的な閉塞による症状と、感染による症状が起こります。

肥大による症状

アデノイドが上咽頭の狭い空間で、生理的に肥大するとき、物理的閉塞による症状が起こります。代表的なものは、睡眠時無呼吸症候群です。小児は鼻呼吸が重要ですが、アデノイドが上咽頭を完全に閉塞すると、鼻呼吸ができなくなります。さらに5歳くらいでアデノイドが最大になる頃、のどの口蓋扁桃も肥大し始めますから、両者が相まって睡眠時に咽頭を完全に閉塞して、高度の睡眠時無呼吸症候群が起こってきます。

図2 上咽頭でボール状に肥大したアデノイド

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Adenoid
(adenoid wikipedia より引用)

感染による症状

アデノイドは上咽頭にあります。この部位は、鼻腔後方の位置で、アデノイドのすぐ横に耳管が開口しています。アデノイドで細菌やウイルスの感染を繰り返すと、耳管経由で急性中耳炎や滲出性中耳炎が起こりやすくなります。また、鼻腔後方をブロックしてしまいますから、高度の鼻閉が起こり、鼻汁や後鼻漏が咽頭へ流れず、副鼻腔炎が増悪します。アデノイドの肥大は、子どもの鼻副鼻腔炎、中耳炎を引き起こし、悪化させるのです。

診断

アデノイドが、どこにあってどんなものかは理解しました。アデノイドによって、何が起こるかも知りました。
次は、お子さんにアデノイドの肥大があるかどうかを調べなければなりません。
アデノイドの診断は、レントゲン撮影1枚で診断できます。上咽頭高圧撮影といいます。難しくありません。どこのクリニックでも診断可能です。ただし、患者さんが小さな子どもさんのため、レントゲン撮影に協力できないことが、しばしばあります。概ね4歳以上で、聞き分けの良いお子さんなら可能でしょう。泣いてお母さんから離れないお子さんは、レントゲン診断が難しくなります。

図3 アデノイド (上咽頭高圧撮影)

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/16-%E8%80%B3%E9%BC%BB%E5%92%BD%E5%96%89%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%BC%BB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%89%AF%E9%BC%BB%E8%85%94%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%89%AF%E9%BC%BB%E8%85%94%E7%82%8E?ruleredirectid=24

アデノイド疾患
(MSD マニュアル プロフェッショナル版)
より転載

小学生くらいで、我慢ができる子どもさんであれば、鼻からの軟性内視鏡(ファイバースコープ)によるアデノイドの直接観察が可能になります。

治療

アデノイドの肥大があるとき、治療のほとんどは、経過観察になります。5歳以降は、アデノイドの生理的退縮がみられるからです。退縮のスピードは個人差があります。12歳頃までにかなり小さくなることが多いですが、時々、中学生になってもアデノイドが大きい子どもさんがいます。ごく稀に大人になっても残っている人もいます。要は、アデノイド肥大による症状が、どれだけひどく、どれくらい続いているかによって、治療方針が変わってきます。ほとんどの場合、アデノイド肥大の症状は高度ではなく、許容範囲内です。ごく一部の子どもさんが、4-5歳頃に重症の睡眠時無呼吸症候群を起こして夜間に陥没呼吸やシーソー呼吸が見られたり、漏斗胸などの胸郭の発育異常を起こしてきます。また、夜間に呼吸が苦しくて頻繁に覚醒したり、慢性的な睡眠不足のため日中の傾眠傾向や、”アデノイド顔貌”といって、常に口呼吸で集中力が低下したような顔貌(顔つき)になることが知られています。アデノイド顔貌は、鼻性注意散漫症とも言われています。
高度のアデノイド肥大に扁桃肥大、小児肥満をともなっている場合などは、重症の睡眠時無呼吸症候群がさらに悪化して、仰臥位だけでなく側臥位でも眠れずに起坐位(座る姿勢)になって眠るお子さんもいます。
このような場合には、正常な発育を促し、夜間の異常睡眠を改善するために、全身麻酔下にアデノイド切除術が必要になります。

何に気をつければ?

お母さんがたは、何に気をつけていれば良いでしょうか。まずは、お子さんが口呼吸になっていないか。鼻から呼吸ができているか。夜間に仰向けに寝ているとき、呼吸が止まっていないか。十分睡眠時間をとっているのに、昼間うとうとしていることが多くないか。口元がだらんとして(?)、顔の筋肉が弛緩していないか。(アデノイド顔貌) いつも、ぼーっとしていることが多くないか。
こんな症状が1つでもあったら、まず、かかりつけの耳鼻咽喉科を受診してみてください。

アデノイドは、お子さんの訴えがまずありません。中耳炎みたいに痛くないからです。お母さんが、注意深く、ご自分のお子さんを観察してあげないといけないのです。

アデノイド顔貌
アデノイド顔貌のイラスト
加藤整骨院 (東京都)のHPより転載


アデノイド顔貌をお見せしたくて、耳鼻咽喉科の教科書、イラスト等を探しましたが、どうしても一目でわかりインパクトのあるイラストが見つからず、webで検索中、東京都の加藤整骨院さんのホームページにいちばん素晴らしいイラストを見つけました。出典を明示してここに掲載させていただきます。

東京都町田市 加藤整骨院

https://katosei.com/1973

後鼻神経切断術

後鼻神経切断術について書きます。
すでに当院HP上で説明していますが、どのような手術でどのような症状にする手術なのか、再度理解していただきたいと思います。
後鼻神経の読み方は “こうびしんけい” です。

後鼻神経とは?

後鼻神経とは何でしょう。
後鼻神経は、上顎洞の後壁後方に存在する翼口蓋神経節から始まり、鼻腔の約7-8cm奥の鼻腔側壁にある蝶口蓋孔から、鼻腔を栄養する血管の1本である蝶口蓋動脈に伴走して鼻腔内に出てきます。翼口蓋神経節は、翼突管神経(ヴィディアン神経)とも繋がっています。後鼻神経は副交感神経の1つの種類であり、鼻腔内の副交感神経バランスを調節しています。元来、鼻腔内の粘膜は自律神経支配によるコントロールを受けているため、交感神経-副交感神経系の調節による影響を多く受けやすい器官です。後鼻神経は蝶口蓋孔から出た後、枝分かれしながら鼻腔側壁を走行し、主として左右の下鼻甲介、中鼻甲介に分布しています。
重症のアレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎などで、過剰な副交感神経刺激が続くと、後鼻神経が過度に興奮した状態となり、もとに戻らなくなって、くしゃみや鼻汁分泌が亢進したまま鼻炎が抑制されずに悪循環に陥ってしまいます。

翼口蓋神経節とは?

上顎洞後壁後方に存在する副交感神経節です。前回のトピックス(くしゃみ はなみず)でも書きましたが、翼口蓋神経節はアレルギー性、非アレルギー性にかかわらず”鼻炎のセンター”としての役割を担っていると言えるのです。
翼突管神経も翼口蓋神経節から始まり、別方向に走行しますが、同じく鼻炎のセンター神経の役割があります。

神経の興奮を抑える?

後鼻神経の過剰な興奮が続くことが、慢性鼻炎の病態であることがわかっています。したがって慢性鼻炎を根本的に治療するには、後鼻神経の興奮を抑える必要があります。軽症の鼻炎であれば薬の内服で一時的にせよ効果が期待できますが、重症の鼻炎や慢性鼻炎を反復する例に対して、もっとも確実な方法は神経切除です。外科的に後鼻神経を切除する手術を、後鼻神経切断術といいます。現在、慢性鼻炎に対してもっとも効果の高い治療方法と位置づけられています。アレルギー性鼻炎だけでなく、アレルギーのない温度差や自律神経のアンバランスで起こる血管運動性鼻炎などを含めた鼻過敏症が、この手術の治療対象となっています。

後鼻神経切断術とは?

後鼻神経切断術の手術方法については、当院ホームページに手術の概略が載せてあります。詳しく知りたい方は参照してください。(鼻の手術→後鼻神経切断術)

鼻炎の抑制は?

後鼻神経切断術を行ったときの慢性鼻炎の抑制効果は一体どのくらいでしょうか。1997年に始めて報告された比較的新しい手術方法であり、まだこの手術の歴史は20年くらいと言って良いと思います。長期間の手術後経過を体系的に評価した報告はまだありません。当院での鼻症状改善度は、鼻づまりはほぼ100%、鼻水は80%以上、くしゃみは50%以上の治療効果が認められています。全国的な諸施設での手術成績もそれに近い数値が報告されています。
手術後一定期間経過(数年)後に一時的に鼻炎症状が再発することはありますが、多くの場合、一時的な内服治療で症状を抑えることができます。
根治性の高い治療方法です。

適応は?

後鼻神経切断術の適応は、アレルギー性、非アレルギー性の鼻過敏症で、症状がひどく内服治療でのコントロールが不良である患者さんが対象になります。

合併症は?

現在報告されているこの手術に関する合併症で、いちばん問題になるのは術後3-4週間くらいで起こる遅発性の術後出血です。手術中の出血量は10cc程度であり侵襲の少ない手術ですが、手術から3-4週経過後に、手術後の創部感染につよい鼻かみや重量物運搬などのいきみや怒責動作が加わったとき、条件が揃うと出血が起こることがあります。怒責をしないことと感染の治療コントロールでほとんど回避できます。頻度は0.5%前後との報告がありますが、当院の症例では、2022年現在全く見られなくなっています。

後鼻神経切断術を受けたいとき

アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎の鼻過敏症や慢性鼻炎で、鼻症状がつよく、薬の治療で症状が良くならないとき、再発を繰り返すときなどは、後鼻神経切断術の適応になります。まずは、かかりつけの耳鼻咽喉科でご相談ください。

当院はアレルギー性鼻炎に関して50年以上の手術治療の歴史があり、後鼻神経切断術は現在までに4000例以上行っています。
ご興味がおありの方は当院ホームページの下記ページでご確認ください。

後鼻神経切断術

当院独自の手術治療
手術術式の改良
-後鼻神経切断術について-

重症のアレルギー性鼻炎に効果のある「後鼻神経切断術(こうびしんけいせつだんじゅつ)」とは?

鼻ばっかりかんで
辛いよね…
(イメージです)

子どもの鼻副鼻腔炎

今回は、乳幼児の鼻副鼻腔炎について書きました。
小さい子どもさんの副鼻腔炎は、大人とかなり病態が違います。
その理由も合わせて読んでください。

子どもの鼻水

子どもさんは、よく鼻水を垂らしています。
昔ほど青洟(あおばな)を垂らしている子どもさんは、さすがに見なくなりましたが、サラサラの鼻水、どろっとした鼻水が鼻の入り口でずるずるしている子どもさんは相変わらずたくさんいます。
子どもさんの鼻水については、まずはこちらをご覧ください。
(子どものはなみず)

どうして鼻水が出るの?

子どもさんは、どうして鼻水が出るのでしょう。その理由をよく考えたことはないのではないでしょうか。
小さいから?風邪をひくから?免疫力が弱いから? じつは全て正しいのです。

小さな子どもさんは、風邪をひきやすいです。生後しばらくすると母体の免疫がなくなりますので、乳幼児は、風邪いわゆるウイルス感染に罹りやすくなります。

風邪のウイルスは、鼻粘膜に炎症を起こして急性鼻炎を起こしますので、急性鼻炎の症状として、初めはサラサラの鼻水が大量に出てきます。そこに、白血球やマクロファージが集まってウイルスを攻撃しますが、この時に死滅した好中球の色素顆粒で風邪の治りかけに黄色い鼻水がでます。(黄色い鼻水)

小さな子どもさん、とくに2歳未満の乳幼児では免疫力が低下しています。そのためウイルス感染を起こしやすく、鼻水が出やすくなります。さらに、乳幼児の鼻腔には中耳炎の3大起炎菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラカタラーリス)がいつもいますから、これらの細菌の菌量が増えて、副鼻腔炎を起こします。3大起炎菌は急性中耳炎だけでなく、急性副鼻腔炎の起炎菌でもあるのです。細菌感染によって副鼻腔炎を起こした子どもさんは、これらの菌の種類によって、色のついた鼻水がたくさん出ます。(子どものはなみず)

また乳幼児では、当然ながら鼻腔がせまく、物理的に粘膜の腫れによってすぐに鼻づまりが起こります。鼻水が多くても鼻かみができないため、鼻汁の吸引をしてあげないと細菌をたくさん含んだ鼻汁が鼻腔に溜まってしまいます。鼻腔の通過も悪くなり、結果的に鼻副鼻腔炎が悪化します。

こうして、小さな子どもさんは鼻水が多くなるのです。

副鼻腔炎って何?

そもそも副鼻腔炎とは、どんな病気なのでしょう。
副鼻腔炎を本当に理解するためには、副鼻腔の解剖を知らないといけません。まずは、図で確認してください。

頭蓋骨の中で、脳と脳を囲む骨を除いた部分を顔面骨といいます。
基本的に副鼻腔は、顔面骨の中の空間です。
左右4つずつ、合わせて8つの空間があります。

図1 成人の副鼻腔
緑色: 前頭洞 黄色:上顎洞
水色:篩骨洞 紫色:蝶形骨洞

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%89%AF%E9%BC%BB%E8%85%94%E7%82%8E

上顎洞は、ここにあります。

図2 上顎洞 (赤色)

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b4/Rotation_Maxilla.gif

篩骨洞は、ここにあります。

図3 篩骨洞 (赤色)

https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Rotation_ethmoid.gif#mw-jump-to-license

上顎洞、篩骨洞の位置を確認してください。
前頭洞、蝶形骨洞は、良い画像が見つかりませんでした。図1で確認してください。
蝶形骨洞は篩骨洞の後方、副鼻腔の最深部にあります。
前頭洞は、(額の)前頭部の空間です。(図1)

簡単にいうと、副鼻腔は骨に囲まれた左右4つずつの空間です。前頭洞、上顎洞、篩骨洞、蝶形骨の4つの空間が顔面骨の両側にあります。(図1)

小児、乳幼児では、この空間は成人よりもずっと小さくなります。

副鼻腔の骨の空間の内側には、薄い粘膜のカーペットが敷かれています。この空間には通常、空気が入っており、自然孔という通気路で、鼻腔と交通しています。自然孔を通って鼻腔から空気が入り、副鼻腔の粘膜が産生する粘液が自然から鼻腔に出ていきます。

これが、正常の副鼻腔の構造です。
この副鼻腔の空間に炎症が起こったのが、副鼻腔炎です。

なぜ起こるの?

副鼻腔炎は、自然孔が塞がって起こります。

副鼻腔は自然孔で鼻腔と交通しています。この自然孔は粘膜の孔なので、鼻腔に炎症が起こると粘膜が腫れて内腔が狭くなります。自然孔が塞がってしまうと、空気の交通が遮断されて、副鼻腔は高度の炎症を起こし、細菌感染を起こして粘膜はさらに腫れます。細菌感染の持続によって副鼻腔に膿が溜まり、自然孔は閉じているため、膿が溜まったまま鼻腔に流れていきません。
副鼻腔に膿が溜まったままになると、さらに炎症が続いて粘膜は腫れる悪循環になります。これが副鼻腔炎です。
副鼻腔炎は別名、ちくのう(蓄膿)症と呼ばれています。これは、膿が溜まるという意味です。

副鼻腔炎の原因は、一言で言うと「自然孔が塞がるから」なのです。

乳幼児の副鼻腔炎?

理解しやすい成人で説明しましたが、テーマは乳幼児の副鼻腔炎です。

乳幼児の副鼻腔は、成人の副鼻腔よりもかなり小さく未熟です。
上顎洞、篩骨洞とも胎生期から存在します。
しかし生下時には、上顎洞は眼窩の下の小豆大ほどの小さな空間でしかなく、篩骨洞はわずかに2-3個の小さな骨の蜂巣が存在するのみです。
その後、上顎洞は4歳までに急速に発育、篩骨洞は3歳から6歳までに急速に発育します。その後も成長を続けて、上顎洞は10歳すぎた頃、篩骨洞は12歳頃にほぼ成人の副鼻腔に近づくと報告されています。
一方、蝶形骨洞は2歳頃から、前頭洞は4歳頃から空間の発育が始まります。

上顎洞、篩骨洞は0歳よりわずかな空間に含気が認められますが、蝶形骨洞は1歳以降で、前頭洞は3歳以降で初めて空間に含気が確認されます。

したがって、急性中耳炎を起こしやすい2歳未満の乳幼児では、副鼻腔は含気した空間はあるものの、まだ非常に小さく未熟であること、自然孔も小さく狭いため、換気も不十分で塞がりやすいこと、鼻腔そのものが狭いため、ウイルス感染による鼻粘膜の炎症によって容易に多量の鼻汁と鼻づまりが起こり、自然孔が塞がって細菌感染による副鼻腔炎を起こすことが予想されます。

2歳未満の乳幼児の副鼻腔は、ほとんど未熟な上顎洞、篩骨洞しかないため、この空間の炎症が中心です。したがって、乳幼児では副鼻腔炎とせずに、鼻腔の炎症と同時に起きる副鼻腔炎という概念で、「鼻副鼻腔炎」と呼ばれています。

症状は?

乳幼児の子どもさんは、症状の訴えはありませんので、鼻水がずるずる出ていることがすべてです。水っぽい鼻水だけでなく、黄色い鼻水がのどに流れてくると、鼻水が細い気管支に流れ込み、ぜろぜろと気管支炎のような咳が続きます。

2歳以降でアデノイド肥大が進行してくると、鼻汁、鼻閉の症状が悪化します。

また、鼻副鼻腔炎から急性中耳炎を起こしてくることが多くあります。
2歳未満の乳幼児で、鼻副鼻腔炎があると、中耳炎は難治性になりやすいとされています。
(難治性の中耳炎)

診断は?

乳幼児では、年長児や小児のようにレントゲン検査が困難です。そのため、鼻腔内の観察だけを参考にして、鼻副鼻腔炎の診断を下します。

図4 副鼻腔炎のレントゲン写真
(黒⬆︎ 左上顎洞炎)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%89%AF%E9%BC%BB%E8%85%94%E7%82%8E

治療は?

基本は、急性中耳炎の治療と同じです。3大起炎菌が存在します。ただし、乳幼児の鼻副鼻腔炎の場合は、急性中耳炎を併発していないならば、抗菌薬を使わずに、局所治療を優先すべきと考えます。薬剤耐性菌の発生を予防するためです。

丁寧な鼻汁の吸引処置を繰り返して、鼻腔の通気を改善し、鼻汁中の細菌量を減量することが最も重要で、これが急性中耳炎の併発を予防することにつながります。

乳幼児の鼻水は、「とにかく吸ってあげること」が重要なのです。

抗アレルギー薬とカルボシステインの内服薬は、鼻汁の量を減らし、鼻腔通気を改善するのに効果的です。

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どうすれば?

小さな子どもさんに鼻水がたくさん出ているとき、お母さん方はとても心配されます。

風邪かも…。ちくのう症かしら…。もしかしたらアレルギー?

そんなときは、まず、優しく鼻水を吸ってあげましょう。
そして是非、かかりつけの耳鼻咽喉科医を受診してみてください。きちんと処置してくださると思います。

黄色い鼻水が垂れていますよ…
(イメージです)

難治性の中耳炎

急性中耳炎。滲出性中耳炎。
子どもさんの中耳炎がなかなか治らない。
抗菌薬だけで多くの中耳炎が治っていた時代がありましたが、現在は中耳炎の治療がスムーズにいかない症例が増えています。
今回は、難治性の中耳炎について書きます。

急性中耳炎は細菌性?

急性中耳炎は、1歳までに60%以上、3歳までに80%以上の乳幼児が罹患します。
以前はほとんどウイルス性と考えられていましたが、近年、急性中耳炎のほとんどが細菌性の中耳炎であることがわかっています。

アメリカ小児科学会の急性中耳炎診療ガイドラ イン2013の記載では、急性中耳炎の65%が細菌とウイルスの混合感染、27%が細菌感染、4%がウイルス感染によるものであり、じつに92%の中耳炎が細菌感染が原因になっていることが報告されています。
急性副鼻腔炎は、85%が細菌性で、細菌とウイルスの混合感染は12%。計97%が細菌感染によるものです。

乳幼児の急性中耳炎の起炎菌は3つです。
肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラカタラーリス。
これら3つの菌は、1-2歳の乳幼児の30-70%に、鼻腔にすでに定着していて、細菌量が増えると急性中耳炎を発症します。

ウイルス性から細菌性

感染の初期は、多くがウイルス性です。

ウイルス感染によって、鼻粘膜が傷害され、粘膜のバリア機能が破綻、粘膜線毛運動の低下などが起こり、鼻腔に定着していた3大起炎菌が増殖します。起炎菌の増殖から、急性中耳炎を発症します。
これが、急性中耳炎の起こりかたです。

写真1 肺炎球菌

肺炎球菌はグラム陽性双球菌で、中耳炎、肺炎、髄膜炎、敗血症などの起炎菌になります。強毒性。菌体表面に莢膜と呼ばれる多糖体を持ち、現在90種類以上が分類されています。乳幼児の鼻腔に常在することが多いとされています。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%82%BA%E7%82%8E%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B5%E7%90%83%E8%8F%8C

写真2 インフルエンザ菌

インフルエンザ菌は、グラム陰性桿菌で、非莢膜型と莢膜型があります。
非莢膜型では、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などを発症します。乳幼児の鼻腔、咽頭に常在しています。

莢膜株は、直接血流中に侵入して、敗血症、髄膜炎、結膜炎、急性喉頭蓋炎、関節炎などを起こします。莢膜株の感染症ではほとんどの場合b型が起炎菌で、Hibワクチン(ヒブワクチン)が普及しています。

https://gram-stain.com/?p=51

複数の細菌

急性中耳炎の細菌感染の多くは、単独細菌の感染ではありません。急性中耳炎の多くに、複数菌の同時感染が起こっています。
これらの菌では、単一菌感染があるとき、その40%以上が他の2菌と混合感染していることが知られています。

インフルエンザ菌と肺炎球菌の混合感染では、とくに急性中耳炎が重症化しやすく、その原因の1つは、集合菌が菌体外成分で作るバイオフィルム(菌膜)の形成と言われています。バイオフィルムがあると、その膜によって菌が守られるため、抗菌薬が効きにくくなります。

写真3 バイオフィルム

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%A0

細菌-ウイルス相互作用

インフルエンザウイルスが産生するノイラミニダーゼ、ライノウイルスが活性化する血小板活性化因子(PAF)受容体は、肺炎球菌の上皮細胞への接着を促進します。
インフルエンザ菌は、細胞接着因子1 (ICAM-1)やToll like receptor 3 の活性化を介して、ウイルス感染を増強します。

このように、ウイルスと細菌の混合感染が起こっている急性中耳炎では、細菌-ウイルス間の相互作用によって、感染が遷延し、難治化しやすくなります。

抗菌薬の選択

起炎菌の混合感染のところで書きましたが、中耳炎の3大起炎菌の半数近くが、混合感染を起こしている状態では、急性中耳炎の起炎菌を1つに絞ることは無理があります。

したがって、細菌検査で複数の細菌が同定された場合は、検出されたすべての細菌に有効な抗菌薬を投与する必要があります。必然的に、幅広い抗菌スペクトルを有する抗菌薬の選択が必要です。
簡単に言うと、これら3つの細菌の全部によく効く抗菌薬を使いなさいという意味です。

急性中耳炎のあとに…

遷延性中耳炎

急性中耳炎で耳痛や発熱があって、抗菌薬治療を開始した後、通常多くは、症状が軽快してきます。中耳の膿は滲出液になり、急性炎症は治まりますが、多くの場合、症状はなくても滲出液は2週間くらい残ったままになります。多くは3週間くらいで自然に滲出液が消失していきますが、一部に長期間中耳の滲出液が残る例があります。
3週間以上、治癒しない中耳炎を遷延性中耳炎といいます。

反復性中耳炎

急性中耳炎を起こした後、いったんは治癒しても、中耳炎を繰り返す例もあります。
6ヶ月間に3回以上、または12ヶ月間に4回以上、中耳炎を繰り返し起こす場合を、反復性中耳炎といいます。

遷延性中耳炎と反復性中耳炎の2つを、難治性中耳炎といいます。

難治性とは?

難治性中耳炎の病態は、遷延性中耳炎と反復性中耳炎です。
長引く中耳炎と繰り返す中耳炎です。

難治性中耳炎のリスクファクターは、2022年現在、4つ指摘されています。

  1. 両側性
  2. 2歳未満
  3. 集団保育
  4. 鼻副鼻腔炎の合併 

2歳未満は免疫系が未熟なうえに、2歳未満の中耳炎の起炎菌として最も多いインフルエンザ菌は、90%が薬剤耐性であり、24時間でバイオフィルムを形成します。

つまり、2歳未満で鼻水がずるずる出ている子どもさん、さらに3歳児からの集団保育を受けている子どもさん、いつも鼻水が出ている子どもさんたちは、難治性中耳炎になる危険性が高く、注意が必要です。

難治性中耳炎の治療は?

難治性中耳炎の治療は、どうすれば良いのでしょう。

小児の急性中耳炎に対しては、日本耳科学会からの「小児急性中耳炎診療ガイドライン2018年版」があります。
しかし、この治療を行なっても順調に治らない中耳炎が、難治性中耳炎です。

難治性の4つのファクターは理解しましたが、どれも簡単に解決できることではありません。

基本的な治療は、同じです。
1つ1つ、検証していきます。

抗菌薬と鼓膜切開

抗菌薬

まず、適切な抗菌薬の選択が必要です。
先に書いたように、急性中耳炎の起炎菌すべてをカバーする良質な抗菌薬が必要になります。抗菌薬の内服期間も重要です。
急性中耳炎の症状は、5日くらいで消失することが多く、熱もなく痛がらない子どもさんに、お母さん方は薬を飲ませる必要性を感じなくなります。
しかし一方で、急性中耳炎の炎症は2週間以上続き、中耳炎の滲出液は2週間は存在しています。この間は、中耳では細菌が残って炎症が持続しているため、いつでも感染が再燃できる準備ができている、と考えなくてはなりません。したがって、発熱や耳痛がなくても、抗菌薬は細菌数が減少するまで、10日間以上、続けなくてはいけません。必要十分な抗菌薬治療は、難治性中耳炎への移行を予防します。

鼓膜切開

小児急性中耳炎診療ガイドラインでは、急性中耳炎の重症度に合わせて治療を行います。
急性中耳炎が中等症で、治療経過が不良な例、また重症では、鼓膜切開が推奨されています。鼓膜切開で中耳炎の排膿を行い、中耳炎の菌量を劇的に減らすこと。中耳の膿を除去して、空気に置換すること。これによって、中耳炎を治癒へと導きます。

図1 Ear tube とあるが、
鼓膜切開では tube はない

イラストでは、Ear Tube とありますが、鼓膜切開の治療ですので、tube はありません。鼓膜切開の良いイラストがなく、使用しています。
紫色の液体が中耳炎の膿を表しています。

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Tympanostomy_tube

耐性菌対策

急性中耳炎において、2歳未満のインフルエンザ菌の90%が耐性菌を有しています。β-ラクタマーゼを産生するか産生しないかによって、β-ラクタマーゼ産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR) 、β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLPAR)と呼ばれます。
インフルエンザ菌の高いバイオフィルム形成能は、耐性菌の獲得を容易にしています。

肺炎球菌の耐性菌には、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)と、ペニシリン低感受性肺炎球菌(PISP)が存在します。
肺炎球菌の60%が、耐性菌と報告されています。

インフルエンザ菌、肺炎球菌の高い耐性菌比率は、抗菌薬治療を非常に困難なものにしています。

適切な抗菌薬の選択が重要です。
さらに、鼻汁の吸引など鼻副鼻腔炎の局所治療によって、耐性菌の量を減らす治療も重要です。

鼻副鼻腔炎の治療

鼻副鼻腔炎を合併していると難治性になりやすいため、合わせて治療が必要です。

2歳未満の乳幼児では、鼻汁吸引などの局所治療に対して協力が得られることはまずなく、できるだけ侵襲の少ない方法を選んで治療を継続する方法が勧められます。診療所受診は恐怖心がともなうので、個人的には、自宅で可能な鼻の吸引などがお勧めです。毎日、子どもさんの鼻汁を吸引してあげるだけでも、耐性菌を含めた鼻腔の細菌量を劇的に減らすことが可能で、耳管周囲の粘膜の腫れを改善して、中耳炎の治療効果を上げる効果が期待できます。

2歳未満

2歳未満では免疫系が未熟です。

2歳未満では、細菌やウイルスの侵入に対して、鼻腔や咽頭粘膜での自然免疫が未熟です。そのため、感染した細菌やウイルスが容易に増殖して、菌量が増加します。

2歳未満の鼻腔には、中耳炎の3つの起炎菌のうち複数が常在していると報告されています。
感染症を起こすとさらに菌量が増加します。
鼻咽頭に菌量が多くなると、耳管経由で容易に中耳炎を起こしてきます。

ステップアップ治療?

近年、難治性中耳炎の治療に、ステップアップ治療が推奨されています。

ステップアップ治療とは、「小児急性中耳炎診療ガイドライン2018年版」に100%従った治療を選択するのではなく、先にあげたリスクファクターがあるような乳幼児では、”1ランク上の治療を行ってみましょう” という治療方法なのです。

すなわち、軽症でもそのまま治療アルゴリズムに沿った治療をするのではなく、アルゴリズムを1つ飛ばして、改善しなかった場合の治療を行う。
中等症でも中等症の治療をそのまま行うのではなく、最初から治療アルゴリズムの1つ先の治療を行う。
条件によっては、ガイドラインの治療アルゴリズムを2つ飛ばすことも推奨されています。
ステップアップ治療とは、こういう治療を行うことです。

これは、軽症に軽症の治療を、中等症に中等症の治療を、ガイドライン通りに行なっても、2歳未満で、両側の中耳炎を起こし、鼻副鼻腔炎で黄色い鼻水がずるずるの子どもさんには、治療が上手くいかないことが多いからなのです。

このステップアップ治療を行うことは、実際の中耳炎の重症度スコアよりも悪いものとして臨床的には判断しましょうという意味なのです。

現在、先の4つのファクター、①2歳未満、②両側性、③集団保育、④鼻副鼻腔炎の合併、がある場合には、このステップアップ治療によって、ガイドラインを読み直した上で治療にあたることが望まれています。

結局どうすれば?

とは言っても実際に、子どもさんが夜間に耳を痛がり、中耳炎かもしれないと思ってかかりつけの耳鼻咽喉科医を受診されるとき、ガイドラインを読んで行かれる方は、まずいらっしゃらないでしょう。
ガイドラインは、確かに有益な治療指針ではありますが、すべて一律ではなく、またすべてがこの通りではありません。
まず、1分でも早く、痛みをとってあげたい。1日でも早く、治してほしい。
お母さん方は、そう思われるはずです。

子どもさんの中耳炎をよく理解しておられる、現場の耳鼻咽喉科医1人1人が、ベストと思われる判断を下すのです。
そしてそれが、1番正しい治療だと私は思っています。

小さい子どもさんの中耳炎、
心配ですよね…
(イメージです。)

耳管

耳管(じかん)。
聞いたことがありますか?
鼻の奥と中耳をつなぐ管。
耳管は、全ての中耳炎に関係がある重要な管です。
今回は、耳管について書きます。

耳管の名称

耳管。英語でEustachian tube ギリシャ語でエウスタキオ管。ギリシャ語が語源です。

図1 auditory tube が耳管
(wikipedia)

耳管とは?

耳管は、上咽頭と鼓室をつなぐ管状の器官です。中耳側の1/3は耳管骨部、咽頭側の2/3は耳管軟骨部といいます。耳管軟骨部から耳管骨部移行部の数mm上咽頭側に、耳管狭部と呼ばれる最も内腔が狭い部位があります。
耳管の内側はすべて粘膜で覆われています。また、上咽頭にある耳管の入り口は、耳管咽頭口といいます。耳管咽頭口周囲には、口蓋帆張筋と呼ばれる、耳管軟骨を引っ張って開大させる筋肉がついています。
耳管の長さは、成人では35-40mmといわれています。

図2 耳管の位置 (イラスト)

何のために?

耳管は、何のためにあるのでしょう。
耳管は、中耳の圧を外気圧と同じにするためにあります。体の外で、急激な気圧の変化が起きたとき、人の聴力を正常に保つために生体に備わっている圧調節機構であると言うことができます。
さらに耳管は、中耳の分泌物を上咽頭へ排出する働きもあります。耳管の内腔の粘膜は線毛上皮に覆われてあり、鼓室から上咽頭へと線毛運動によって分泌物が排出されます。
耳管は、小児と大人で形状が違います。

図3 子どもの耳管
子どもの耳管は短く水平
図4 大人の耳管
大人の耳管は、長く鋭角

一般に、小児の耳管は開きにくく、鼻すすりなどの陰圧で簡単に閉鎖します。一方で、低い鼻咽腔の圧で開くため、つよい鼻水かみなどで副鼻腔炎の感染が波及しやすい傾向にあります。

耳管のことについて、前回までのトピックスで書いていますので、ぜひお読みください。

急性中耳炎 -その1-

滲出性中耳炎

耳管のもう1つの重要な働きは、成長の過程で、側正常な頭骨の乳突蜂巣の発育をうながすことです。乳突蜂巣は、中耳から続く解剖学的な空気の貯留空間で、中耳炎の病態に非常に重要な役割を持っています。この乳突蜂巣が正常に発育していないと、将来さまざまな中耳炎を起こす可能性が高くなります。生後、耳管を通じて乳突蜂巣に空気が入ることで、ほぼ12歳までに成人に近い乳突蜂が完成します。

耳管は閉じている?

耳管は、通常閉じています。
耳管軟骨部の弾性で閉じているのです。嚥下運動やあくびなどのとき、口蓋帆張筋が収縮して耳管咽頭口が開き、耳管は開きます。唾を飲んだりあくびをしたりした直後に、耳抜きできることが多いのは、このためです。

耳管が狭窄ぎみになるか、開放ぎみになるかで、全く違う病態になります。

狭窄か? 開放か?

耳管狭窄症は、耳管がいつも閉じている病気です。
耳管開放症は、耳管がいつも開いている病気です。
耳管は上咽頭と鼓室の圧差を調整していますので、耳管の機能が悪くなると、気圧の調整がうまくできなくなります。つまり、閉じっぱなしになるか(耳管狭窄症)、開きっぱなしになるか(耳管開放症)です。
これは、直感的に理解できると思います。

耳管がいつも狭窄していると、上咽頭から鼓室に空気が入らないため、鼓室内は容易に陰圧になります。そのため、鼓膜が内側に引っ張られて耳小骨の動きが制限され、難聴が起こります。さらに耳閉塞感の症状があります。
耳管狭窄症が続くと、鼓室の陰圧から滲出性中耳炎になったり、乳突蜂巣の換気不全から、真珠種性中耳炎を発症したりします。

逆に耳管がいつも開放していると、上咽頭の空気が簡単に鼓室に入ってしまい、耳管を通して空気がつながった状態に近くなるため、自分の声が内側から大きく響いたり、ひどくなると自分の呼吸音が耳管を通して聞こえたりします。この時もやはり耳閉塞感がします。

耳管開放症は、消化器がんの手術後や過度のダイエットによる、急激な体重現象の後に発症することが多いです。耳管周囲の脂肪体の減少が原因と言われます。
高齢者では耳管機能が不良で耳管開放症になりやすく、また吹奏楽の演奏者が演奏中につねに鼻咽腔圧の圧が上がることによって、耳管が開放されやすいと言われています。(吹奏楽器を息んで吹くため)

耳管開放症の症状を楽にするために、「鼻すすり」癖がある方は、真珠種性中耳炎を発症しやすいので、注意が必要です。

耳管狭窄症と耳管開放症を合わせて、耳管機能不全といいます。

耳管機能不全

現在、耳管機能不全についての診断は、以下のようになっています。

2014年イギリスNIHの診断基準、日本耳科学会の2016年耳管開放症診断基準案、2018年耳管狭窄症診断基準の3種類の診断基準が中心です。

耳管機能不全は、正確には3つに分かれます。

① 耳管狭窄症
② 圧変化による耳管機能不全
(baro-change-induced Eustachian tube dysfunction (2014NIH) )
③ 耳管開放症

③は、急激な圧変化で起こる耳管機能不全のことです。
スキューバダイビング、飛行機搭乗、高速のエレベーターなどで急激な気圧や水圧の変化が起こったとき、中耳空間で過度の圧変化が起こり、鼓室内で出血したり(血鼓室)、血性の滲出液が貯留したりします。
実際この場合は、急激な圧変化による内耳障害を起こすことがあり、注意が必要です。

耳の圧外傷

症状は?

① 耳閉塞感

「耳がつまった感じ」「耳が塞がった感じ」「耳に水が入った」「高いところに行ったときの感じ」などと表現されます。
耳管狭窄症、耳管開放症ともに訴えのある症状です。

② 自声強聴

「自分の声が耳の奥から響いて聞こえる」単に「自分の声が響く」「自分の声がこもって聞こえる」などと表現されます。
耳管開放症の特徴的な症状です。耳管狭窄症でも「声が響く」と表現されることがありますが、病態は違います。

③ 自分の呼吸音が聞こえる

この通りの症状です。
耳管開放症に特徴的な症状です。

④ 聴こえがわるい

耳管狭窄症では、鼓室が陰圧になり、鼓膜が外気圧でつよく押し込まれると耳小骨の動きが制限されます。軽度の伝音難聴を示すことがあります。また聴力検査上は難聴はなくても、陰圧になると耳小骨のインピーダンスが上昇して、難聴=「聞こえにくい」の訴えが起こります。
耳管開放症にもみられることがあります。

⑤ 臥位や前屈位(体を曲げて頭をしたにする)によって耳閉塞感が改善する

臥位や前屈位(頭を下げる)によって、重力の影響で一時的に耳管周囲粘膜が充血します。そのため、耳管開放症の人では耳管が閉鎖傾向になり、耳閉塞感の症状が劇的に改善されます。ただし症状の改善は一時的なものです。
この動作によって、耳閉塞感が改善するかどうかを確認することで、耳管開放症の診断の補助にすることもできます。

診断は?

先の症状から、耳管機能不全を類推して、検査で診断を確定します。

① 問診での症状の確認。とくに耳閉塞感、自声強聴。
② 鼻咽腔ファイバースコープによる、上咽頭の耳管咽頭口の目視確認。静止時と嚥下時での観察。
③ 聴力検査による、内耳障害の否定。
④ 鼓膜の顕微鏡下または内視鏡下の観察によって、鼓膜の呼吸性動揺がないかどうかの確認。またはインピーダンスオージオメーターによる確認。

⑤ 耳管機能検査による確定診断。

⑤の耳管機能検査には、耳管鼓室気流動態法(tubotympano- aero-dynamic graphy TTAG)、音響耳管法(sonotubometory)、加圧減圧法(inflation-deflation test)などがあります。

重症のアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎による、耳管機能障害増悪因子の有無を調べるため、アレルギー検査、副鼻腔レントゲン検査、CT検査などの鼻科一般検査が、場合によっては、必要になります。

⑥ ティンパノメトリー(tympanometory)
直接の耳管機能検査ではありませんが、ティンパノメトリーを行なって鼓膜のコンプライアンス(可動性)を測定することで、中耳圧が陰圧になっているかが判定できます。陰圧になっていれば、耳管狭窄が起こっていることがわかります。

これらを総合的に評価して、診断を確定します。

治療は?

耳管狭窄症と耳管開放症にわけて述べます。

耳管狭窄症

耳管を拡げる治療をします。

感冒などの感染症に対してはその治療。
重症のアレルギー性鼻炎に対しては抗アレルギー薬の内服や点鼻スプレー、副鼻腔炎に対してはマクロライド抗菌薬やカルボシステイン剤の投与。
鼻汁の吸引治療やネブライザー治療など。
耳管周囲の炎症を引かせるための治療が中心になります。

合わせて、耳管通気治療(カテーテルによる)による、直接カテーテルで耳管咽頭口を開大させる治療も行われます。

耳管開放症

耳管を狭くする治療を行います。

生理食塩水の点鼻。
ある種の漢方薬の内服が効果があります。
ルゴール、プロタルゴール、ベゾルト粉末などをカテーテル通気管を使用して直接、耳管内へ注入する治療もあります。これは薬剤で耳管粘膜に炎症を起こし、耳管を狭くする治療です。(耳管内注入治療)
顕微鏡下に、鼓膜に薄いテープを張る治療も有効です。(鼓膜パッチ) 
この方法は、呼吸や会話時の咽頭から鼓室への空気の流入による鼓膜の可動性を抑えるために、テープで鼓膜を厚くすることによって鼓膜の動きを少なくすることが目的です。

手術的な治療として、鼓膜を切開して鼓膜側の耳管から耳管を狭くするためのシリコン製の「耳管ピン」を挿入する手術があります。
咽頭側の耳管から自分の脂肪組織を挿入する手術もあります。
人工耳管も作製されています。
重症例に行われます。

図5 中耳(Middle Ear)の拡大図
赤色のauditory tube が耳管
耳管ピンはこの部分に挿入

耳管ピン

耳管ピンは、こういうものです。

図6 耳管ピン (富士システムズ株式会社)

耳管ピンの構造です。全長23mm です。

図7 耳管ピン (構造イラスト)
全長 23mm 各種サイズあり

耳管ピンは、シリコン製です。

図8 耳管ピン挿入 (イメージ)


図9 耳管ピン挿入 (イメージ) 拡大図

実際の手術のときの耳管ピン挿入イメージです。

富士システムズ株式会社
http://www.fujisys.co.jp/?p=6332

富士システムズ株式会社の製品情報サイトから引用しています。詳しくは上記ご参照ください。

結論は?

耳管について書いてきました。
耳管はとても大きなテーマです。とても1回では書ききれません。お伝えしたいのは、次のことです。

耳管の問題は、すべての中耳炎に何らかの形で関わっています。
耳管は中耳に空気を入れるためにあります。
耳管について知ってください。
中耳炎の診断や治療で、耳管の機能を正常に戻すことが、どれだけ重要かを知ってください。
そのためには鼻の治療も必要です。

鼻の病気と耳の病気は、じつは別々ではないのです。深い関係があるのです。

図10 耳管 Auditory tube




鼓膜切開

「切開しましょう。」
「鼓膜切開しないとだめです。」
お母さんたちには、嫌な響きです。お子さんの中耳炎の治療に来たのに、お薬では治らず、鼓膜形成が必要というかパターンは、何とも受け入れ難い気持ちでしょう。今回は、する側もされる側も嫌な、鼓膜切開について書きます。

鼓膜を切開する?

「どうして?」
「お薬では治らないんですか?」
そんな声が聞こえてきそうです。
鼓膜を切開するなんて…。かわいいわが子が泣き叫ぶ姿が目に浮かぶとお母さんたちはそれだけでうるうるします。
一体どこを切るの? 痛いでしょうに…。
鼓膜はどこで、どこを切開するのでしょう。

鼓膜の位置

鼓膜の位置は?

鼓膜の位置はどこ?
上のイラストで理解してください。
大人では、耳の入り口から3cm, 子どもでは2cmです。鼓膜の厚さは、大人で0.08mm, 9歳未満では、0.06-0.07 mm と論文では報告されています。半透明の非常に薄い膜です。
もちろん急性中耳炎では、鼓膜はかなり腫れて厚くなります。どのくらいかは報告がなくわかりませんが。こんなに薄い膜を切るのですね。

切開のしかた

鼓膜の位置はわかりました。
では、どうやって切るのでしょう。
鼓膜の表面の前半部分は、鋭敏な三叉神経が支配しています。(後半部分は迷走神経の支配です。)
三叉神経の痛みは、歯の痛みです。急性中耳炎でも書きましたが、鼓膜が腫れて引き伸ばされるとものすごく痛いです。ですから、鼓膜切開しないと治らないほどの中耳炎では、もともとものすごく痛い。そこを切るから痛いはずです。
通常は、鼓膜に局所麻酔をします。綿花に麻酔薬を浸して、鼓膜の表面に置き、15分くらい待ちます。その間に鼓膜の一部分が白く麻酔されますので、痛みがかなり軽減されます。完全に痛みがとれないことも多く、すこし痛いのが普通です。やはり小さな子どもさんは泣いたりします。危ないので、お母さんの了解をとって、子どもさんを押さえてすることもあります。

鼓膜の表面麻酔
(青: 麻酔薬を浸した綿花)

イラスト図で青いクシャクシャしたものが綿花です。麻酔液を浸しています。しばらくすると、鼓膜の表面が白くなって表面麻酔が完了します。
鼓膜表面に液体を置いて微弱な通電を行い、鼓膜全体を麻酔する方法もあります。イオントフォレーゼという方法ですが、ある程度聞き分けの良い年長児でないと麻酔ができません。

切開の位置

鼓膜切開の位置
鼓膜の前下方(赤色)

イラスト図の赤色の部分を切開します。
切開すると膿(うみ)が流れ出てきます。

鼓膜切開直後の鼓膜
(赤い丸が切開の穴)

イラストの赤い丸が鼓膜切開で開いた穴です。ここから膿を吸い出し、替わりに空気が入ります。中耳炎は、膿が出て、空気が入って治っていくのです。

どんなとき切開する?

鼓膜切開が必要な場合は、決まっています。
急性中耳炎で、抗菌薬の治療で治らないとき。重症で鼓膜の炎症がひどいとき。高熱や全身的な合併症を起こしているとき。
急性中耳炎で書きました。鼓膜切開は、ガイドラインを参考にして決定します。

痛いよね?

鼓膜切開は、痛いです。
全く痛がらないほうが稀かもしれません。
局所麻酔をしっかりしても、イオントフォレーゼ麻酔を十分しても、痛がる時があります。もちろん全く痛がらない子どもさんもいます。急性中耳炎の重症度と鼓膜の炎症の程度で、麻酔薬の浸透が違うのだと理解しています。
鼓膜切開の技術は大差ありません。なので、痛がる子は痛がりますし、痛がらない子は、痛がらないと思ってください。

鼓膜切開がいつの日か、全然痛くない時代が来れば良いといつも思っています。
最近では、オトラムと言って、CO2レーザーを使用して、鼓膜切開を一瞬で終了させる治療法もあります。

中耳炎の治療に必要なことであっても、子どもさんを痛がらせると、お母さんに睨まれますが…。
鼓膜切開はなくなりません。絶対に必要な場合があります。
鼓膜切開のとき、どれだけ子どもさんの痛みを少なくしてあげれるか、がとても重要になります。

聞いてください

中耳炎で、薬の治療でどうしても良くならないとき、鼓膜切開をした方が良いかどうか、悩むと思います。
その時は迷わず、かかりつけの耳鼻咽喉科の医師に正直に聞いてみましょう。

どうしたら良いですか? と。

中耳炎は痛い…
(イメージです)

滲出性中耳炎

「滲出性」中耳炎。
“しんしゅつせい”と読みます。
難しい漢字ですが、どんな意味でしょう。
そして、どんな病気でしょう。
今回は、滲出性中耳炎について書きます。

中耳炎とは?

中耳とは、どこでしょう。

図1 中耳の位置


中耳とは、鼓膜の奥の空間です。
鼓室とも言います。
正常な中耳は、空気で満たされています。鼓膜の振動を内耳に伝える耳小骨が、抵抗なく振動するためです。

滲出性の定義

にじみ出ること。
医学的には、組織液が外にしみ出ること。

滲出性中耳炎は、
「鼓膜の奥の中耳に、滲出液が貯留した状態。」
と言い換えることができます。

2015年日本耳科学会の「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン」では、「鼓膜に穿孔がなく、中耳腔に貯留液をもたらし難聴の原因となるが、急性炎症症状すなわち耳痛や発熱のない中耳炎」と定義されています。

なぜ滲出液が?

中耳腔の空間が陰圧になるからです。
陰圧になると、中耳粘膜から組織液が滲出します。
では何故、中耳が陰圧になるのでしょう。

中耳は、耳管という管によって、鼻の奥の上咽頭につながっています。通常では、耳管を通して空気が中耳に入るため、中耳の圧は、外気圧と等しく調節されています。耳管は、主に嚥下やあくびのとき開くようになっています。ところが何かの原因で耳管が開かないと、中耳の圧を外気圧と同じにすることができなくなり、中耳は陰圧になってしまいます。いわゆる耳抜きができない状態です。中耳が陰圧になると滲出液が貯留します。これが滲出性中耳炎です。

滲出性中耳炎は小児に多く、急性中耳炎から移行することも多くあります。

なぜ耳管が?

なぜ、耳管が開かなくなるのでしょう。
耳管の入り口には、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋と呼ばれる細い筋肉があり、この筋肉の収縮で耳管が開きます。耳管の咽頭側は軟骨になっていて、ふだんは軟骨の弾性で閉じていますが、嚥下(飲み込むとき)やあくびのとき、主に口蓋帆張筋が収縮して、耳管が開くようになっています。
小児では、この口蓋帆張筋の発達が未熟なため、耳管機能が未熟です。そのため耳管が開きにくく、閉じたままになりやすい。
そのために小児は、耳管から中耳へ空気が入りにくく中耳が陰圧になりやすいため、滲出性中耳炎になりやすいのです。

もう1つ、滲出性中耳炎は、急性中耳炎に続いて起こることが多くあります。

小児では耳管が大人に比べて短く水平に近い構造をしていますので、アデノイドや副鼻腔炎の細菌が耳管から中耳に移りやすいことがあります。(図2 図3)

急性中耳炎でも書きましたが、耳管からの感染で急性中耳炎が起こります。

図2 子どもの耳管
耳管から感染が起こりやすい


図3 大人の耳管
耳管から感染が起こりにくい

小児は急性中耳炎になりやすく、いったん中耳炎になって膿が貯留すると、耳管が未熟で開きにくいため、膿がなかなか咽頭へ排泄されません。そのため、急性炎症が治っても膿が中耳から出ていかず、滲出性中耳炎になりやすいのです。

3歳までの滲出性中耳炎は急性中耳炎の関与が大きく、2歳までに60%以上の乳幼児が滲出性中耳炎になると報告されています。

原因は?

滲出性中耳炎は、耳管の解剖、耳管の機能が原因で起こることが、わかりました。

小児は耳管が未熟で開きにくいため、中耳が陰圧になりやすいこと、小児は耳管が短く水平なため、急性中耳炎を起こしやすいこと、この2つが滲出性中耳炎が小児に多い理由です。

急性中耳炎を起こす原因、アデノイドや副鼻腔炎などが、滲出性中耳炎の原因になります。
成人で滲出性中耳炎を起こす場合は、上咽頭がんの可能性を確認しなければなりません。上咽頭に腫瘍があると、腫瘍が耳管を塞ぐため、滲出性中耳炎になります。そのため、成人で滲出性中耳炎を繰り返すときは、必ず内視鏡検査で確認します。

症状は?

滲出性中耳炎の特徴は痛くないことです。
急性中耳炎はとても痛いのですが、滲出性中耳炎は全く痛みがありません。
滲出性中耳炎では発熱もありません。

滲出性中耳炎の症状は、耳が塞がった感じ(耳閉塞感)や難聴だけです。とくに小さな子どもさんでは、耳閉塞感や難聴を訴えませんから、「テレビの音が大きい」「呼びかけに反応しない」などが唯一の症状のことも多くみられます。

成人では、耳閉塞感や難聴に、「動くと耳の中でゴロゴロ音がする」などの訴えがあることがあります。

診断は?

滲出性中耳炎の診断は、簡単です。
耳鏡で耳の中を観察すればほとんど100%診断できます。顕微鏡や内視鏡を使用して詳しく観察します。

滲出液の色、量、鼓膜が陰圧で凹んでいるか、凹みの程度はどうか、などを詳しく観察し、記録します。

滲出性中耳炎(成人)
(Wikimedia commons)

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/5c/Adult_Serous_Otitis_Media.jpg

ティンパノメトリーという、鼓膜の張力やコンプライアンスを調べる検査で、確認することもあります。B型やC型を示します。

正常耳と比較してみましょう。

正常耳(左耳)
(wikipedia)

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Eardrum#/media/File%3ANormal_Left_Tympanic_Membrane.jpg

聞き分けの良い子どもさんや、年長児では、聴力検査が可能ですので、難聴の程度を調べます。40dB以上の難聴があれば、要注意です。

合わせて、滲出性中耳炎の原因となる、アデノイドや副鼻腔炎の有無を、鼻内視鏡やレントゲンで調べる必要があります。

治療は?

滲出性中耳炎の治療は、まず保存的治療を行います。
カルボシステイン(シロップや細粒)を内服して、中耳粘膜と耳管粘膜の線毛運動を促進させ、中耳に溜まった貯留液を耳管から排泄しやすくします。副鼻腔炎があれば、合わせて副鼻腔炎の治療を行います。
さらに抗アレルギー薬を内服して、鼻腔や咽頭の粘膜の腫れを引かせます。鼻づまりは、耳管の機能を悪化させて中耳炎を治りにくくするからです。抗アレルギー薬は、耳管咽頭口周囲の粘膜の腫れも改善します。

ネブライザー治療ができる子どもさんなら、鼻からの吸入治療で、鼻副鼻腔炎による膿性の鼻水の改善と鼻の奥の耳管周囲の腫れの改善をめざします。

鼻水を吸い上げる、いわゆる”鼻すすり”の癖があると滲出性中耳炎になりやすく、また中耳炎が治りにくくなりますので、鼻すすりをしないように指導します。

3ヶ月以上治らない滲出性中耳炎は、難治性の中耳炎に分類されます。

40dBを超える難聴があるときは、鼓膜チューブ留置術などを考慮します。
上咽頭にアデノイド肥大が認められ、上気道病変がある場合は、鼓膜チューブ留置術と同時にアデノイド切除術を考慮します。

滲出性中耳炎が片方だけか、両側性かによっても治療方針がすこし違います。

2015年の小児滲出性中耳炎診療ガイドラインがあります。参考にしてください。

https://www.otology.gr.jp/common/pdf/guideline_otitis2015.pdf

鼓膜チューブ留置術のときの麻酔は、年長児や成人ではイオントフォレーゼ麻酔を行います。急性中耳炎のときと違い、炎症がないため、局所麻酔は効きやすくなります。

鼓膜ドレインBタイプ (高研)
鼓膜切開時に鼓膜に挿入する

https://www.kokenmpc.co.jp/products/medical_plastics/ent/drain-b/index.html

小児でアデノイドの肥大が高度なときは、アデノイド切除術を行う場合もあります。アデノイド切除術は全身麻酔で行いますので、同時に鼓膜チューブ留置を行うこともあります。

遷延性中耳炎とは?

乳幼児の滲出性中耳炎には、「急性中耳炎の後に耳痛、発熱などがなく急性中耳炎の炎症所見が続いている」、いわゆる”遷延性中耳炎(semi-hot ear)” と呼ばれる病態になっていることが多くあります。

遷延性(せんえんせい)中耳炎では、急性中耳炎の治療後に急性炎症が治って、耳痛や発熱は見られなくなりますが、まだ中耳に膿が貯留していて、鼓膜は厚く腫れて中耳の粘膜も炎症で肥厚しています。

このような遷延性中耳炎は、再度、上気道感染が起こると、溜まった膿が再感染を起こして、簡単に急性中耳炎に戻ってしまうのです。いわゆる、急性中耳炎と滲出性中耳炎を往復するように中耳炎が続く、複雑な病態をとるようになります。

遷延性中耳炎は、薬剤耐性菌の増加や、免疫力が未熟な低年齢児からの集団保育などの環境が増えていること、不適切な抗菌薬の選択などが、原因になっていることが指摘されています。
また、受動喫煙との関係も言われています。

遷延性中耳炎のような難治性中耳炎に対する治療は、鼓膜切開や、鼓膜チューブ留置術などの外科的治療を含めた、積極的な治療が必要になります。

どの子どもさんの中耳炎も難治化する可能性があります。そのため急性中耳炎になったあとは、症状がなくなっても、必ず定期的にフォローアップすることが必要です。

何に気をつければ?

滲出性中耳炎は、小児に多く、痛がらず、難聴だけです。お母さんが気づいてあげないと、病気が発見されません。
痛がらないので放置していると、大切な成長の時期に難聴のままでいることになります。
子どもさんが、「テレビの音が大きい」「呼びかけに反応しない」などの症状があることに気づいたら、すぐにかかりつけの耳鼻咽喉科医にご相談ください。
耳の中を見るだけで簡単に診断がつきますので。

図4 中耳に滲出液が貯留(紫色)
Middle ear が中耳
最近テレビの音が大きいかも…
(イメージです)

急性中耳炎 -その1-

小さな子どもさんをもつお母さんたちにとって、興味がある耳鼻科の病気が中耳炎でしょう。今回は、子どもの急性中耳炎について書きます。

中耳炎とは?

中耳炎とは、何でしょう。
中耳炎、中耳炎、中耳炎…。
聞き慣れた病名ですが、一体どんな病気か説明できますか?
まずらそこから始めましょう。

中耳ってどこ?

中耳とは、鼓膜の内側の空間です。
耳は解剖学的に外耳、中耳、内耳の3つに分かれます。耳介から外耳道を外耳、鼓膜の内側の空間を中耳、蝸牛(かたつむり)の形をした骨で囲まれてリンパ液の入った空間を内耳といいます。(図1)

図1 耳の解剖イラスト

図1で、鼓膜の内側の空間を中耳といいます。鼓室(こしつ)とも呼ばれます。この小さな空間には空気が存在していて、耳小骨(じしょうこつ)と呼ばれる鼓膜の振動を内耳へ伝える骨が3つ並んでいます。順番に、ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨です。中耳の空間は約2ccくらい。鼓膜と内耳(緑色の部分)との距離は7mmです。
この空間に炎症が起こり、膿(うみ)が貯まる病気を中耳炎といいます。

中耳炎とは?

中耳の空間に、感染による炎症が起こり、膿が貯まる病気です。
日本耳科学会の小児急性中耳炎診療ガイドライン(2018年版)では、急性中耳炎を「急性に発症した中耳の感染症で、耳痛、発熱、耳漏を伴なうことがある」と定義されています。

何歳に?

急性中耳炎は、1歳までに60%以上、3歳までに80%以上、罹患すると報告されています。

何故起こるの?

中耳炎は、お風呂で耳に水が入って起こるのではありません。プールで水が入っても起こりません。水は鼓膜の中まで入ってきません。鼓膜で外側と仕切られているからです。
では、中耳炎は何故起こるのでしょう?
中耳炎は、鼻の病気から起こります。小さい子どもさんはいつも鼻水が出ています。鼻腔が狭く、鼻がうまくかめず、鼻水が溜まりやすくなっています。風邪などで副鼻腔炎を起こしてこの鼻水が黄色くなったとき、膿汁を含んだ鼻水から中耳炎は起こるのです。
では、どうやって起こるのでしょうか?
その前に「耳管」について、知ってください。

耳管とは?

耳管(じかん)とは、鼻の奥と中耳をつなぐ細い管のことです。大人が高い山で耳がつまったとき、鼻をつまんで”耳抜き”をするその管のことです。人の耳は、鼻の奥から中耳へ空気が出入りするように解剖学的に設計されているのです。子どもでは、この耳管が、大人に比べて太く短く、水平にできています。そのため、副鼻腔炎のとき、ウイルスや細菌をたくさん含んだ黄色い鼻水から中耳へ感染が起こりやすくなります。耳管を通って感染が起こるのです。さらに子どもさんは、鼻の奥にアデノイドと呼ばれる扁桃の塊が肥大していることが多く、大人に比べて鼻水がのどに流れていかず、耳管の周りに溜まりやすくなります。
子どもさんの中耳炎は、このようにして起こります。(図2 図3)

図2 子どもの耳管
耳管から感染が起こりやすい
図3 大人の耳管
耳管から感染が起こりにくい

副鼻腔炎などの鼻の病気から中耳炎が起こることが理解できましたね。では、次に行きます。

中耳炎で何が起こるの?

中耳炎がどうして起こるのか、わかりました。では中耳炎では、一体何が起こっているのでしょう。
答えは、炎症による膿(うみ)の貯留です。副鼻腔炎の細菌やウイルスが耳管経由で感染を起こしますので、小さな空間に炎症が起きて、膿が貯まります。これが中耳炎の病態です。

中耳炎てどんなの?

急性中耳炎の診断は、鼓膜の観察がすべてです。実際の中耳炎をお見せしましょう。
中耳炎を起こした子供さんたちの耳の中をファイバーまたは顕微鏡で観察すると、このようになっています。 

写真1 急性中耳炎 (左耳)
Otitis media (wikipedia)
鼓膜が発赤、膨隆している
中耳腔には、膿の貯留を認める

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Otitis_media

写真2 正常鼓膜 (右耳)
Eardrum (wikipedia)
鼓膜は透明、薄く光沢がある

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Eardrum#/media/File%3ATM_RIGHT_NORMAL.jpg

( 写真はwikipediaより引用しています。)

正常と比べてみてください。一目で違いがわかりますね。中耳炎では、鼓膜が真っ赤になって中に膿が貯まり、ぱんぱんに腫れていかにも痛そうです!
耳鼻科的には、これを、鼓膜の発赤、膨隆、膿の貯留、と表現します。

どうして痛がるの?

中耳炎の子どもさんは、夜泣き止みません。痛み止めを飲ませても、なかなか寝ついてくれません。よほど痛いのでしょう。とくに、小さな子どもさんは、痛みを訴えることができません。耳を押さえて泣いてばかりです。ぐずって泣き止まないだけのこともあります。中耳炎がひどくなると、炎症による熱が出ます。39℃、40℃近くになることも稀ではありません。母親としては、心配でたまりません。
「明日、耳鼻科へ行こう。」
でも、どうして痛み止めが効かないくらい痛がるのでしょう。

痛いわけは?

中耳炎は、とても痛い病気です。
大人の中耳炎をみるとよくわかります。
大人で中耳炎を起こすと、かなり痛がります。分別ある大人が「痛い」と言います。
子どもさんは、泣くはずです。
痛みのわけは、鼓膜の緊張です。
鼓膜の前半部分は三叉神経に支配されています。(後半部分は迷走神経の支配です。)
三叉神経は、顔面の知覚のほとんどを感知するとても太い脳神経です。そのため、すごく敏感です。中耳炎で膿が貯まると、炎症で中耳の圧が高くなり、鼓膜がぱんぱんに腫れます。このとき、鼓膜が引き伸ばされ、鼓膜表面の三叉神経の刺激で、激痛がするのです。歯の痛みは、すごく痛いですね。歯の痛みも三叉神経からきています。逆に炎症がかるく、鼓膜が腫れ上がっていない中耳炎は、ひどくは痛がりません。膿がたくさん貯まると、鼓膜の緊張がピークに達し、痛みも最高潮になります。子どもさんは泣き止みません。突然、鼓膜が破れて、膿が流れ出します。(耳漏)
鼓膜が破れると、鼓膜の緊張がなくなり、痛みはすっと引いてきます。子どもさんは、耳だれがたくさん出たら、泣き止むのです。
それとともに、高かった熱もすっと下がってきます。
破れない中耳炎は、とても痛がります。

起炎菌は?

いちばん聞きたいのは治療のことです。
現在では優れた抗菌薬があるため、多くの急性中耳炎が、お薬の治療で治癒します。急性中耳炎の起炎菌(原因となる細菌)にターゲットを絞った抗菌薬治療が欠かせません。
そのため、急性中耳炎の起炎菌について、すこし知っておいてください。
急性中耳炎の主な起炎菌はこの3つです。

インフルエンザ菌
肺炎球菌
モラクセラ・カタラーリス

急性中耳炎の起炎菌は、日本だけでなく欧米の報告でも同じ結果になっています。
これら3つは細菌です。インフルエンザとありますが、ウイルスではありません。

耐性菌のこと

抗菌薬治療について書く前に、耐性菌について知っておかなくてはなりません。
耐性菌とは、一種類または複数の抗菌薬に薬剤耐性を示す菌のことです。簡単に言うと、抗菌薬が効かないのです。理由は抗菌薬の使いすぎです。細菌に変異株ができてしまい、その抗菌薬に壊されなくなった菌ができてしまうのです。
インフルエンザ菌の耐性菌は、BLNAR
肺炎球菌の耐性菌は、PISP, PRSP

現在、インフルエンザ菌、肺炎球菌の耐性菌は、60-80%にもなっています。
さらに集団保育によって、保育園児の60%がMRSAを保菌するとの報告もあります。
これら耐性菌は、現在、急性中耳炎の抗菌薬治療の方針を根本的に変えています。

耐性菌の治療は?

耐性菌には多くの抗菌薬が無効です。耐性菌の問題を解決するには、2つの方法しかありません。
1つは、耐性菌にも有効な新しい抗菌薬を開発すること。次々と新しい抗菌薬が登場していますが、しばらくすると耐性菌は、またその抗菌薬に耐性を獲得していきます。新しい耐性菌が誕生するのです。
2つめは、抗菌薬を使わないこと。抗菌薬を無理に使わないで良い症例に対して抗菌薬を使うと、耐性菌の出現を助長します。なので抗菌薬をできるだけ使用しない治療が今、推奨されています。
現在用いられている最新の小児急性中耳炎診療ガイドライン(2018年版)でも、軽症例は最初の3日間を抗菌薬を使用せずに経過観察することを推奨しています。

重症度の診断

急性中耳炎には重症度があります。
急性中耳炎の重症度は、スコア化されてきます。(表1)
小児急性中耳炎診療ガイドラインでは、この重症度スコアを判定します。そして、スコアによる治療フローチャートを推奨しています。

表1 小児急性中耳炎重症度スコア

軽症  5点以下
中等症 6-11点
重症  12点以上

図2 中耳炎によくある症状は?

図2 中耳炎の症状
(個人差があります)

治療

中等症と重症では、初診から抗菌薬治療を行います。抗菌薬はAMPC, CVA/AMPC, CDTR-PI 高容量が推奨されています。
軽症では、抗菌薬を使用せず、3日間経過観察します。
中等症以上で初回治療が無効であった場合、および重症に、鼓膜切開術が治療に加えられます。鼓膜切開術は、鼓膜の一部を切開して中に貯まった膿を出す治療です。

小児急性中耳炎診療ガイドラインは、関連学会から、webで広く公開されています。転載禁止のため、ここでコピーをお見せすることはできません。興味がおありのお母さんがたは、各自アクセスしてみてください。

https://www.otology.gr.jp/common/pdf/guideline_otitis2018.pdf

( p 29, 38, 80, 81, 82,
p 100- 巻末カラー図表 : 重要 )

ガイドラインとは?


診療ガイドラインは絶対ではなく、あくまで “ガイドライン”です。最終的な治療選択は、担当医が総合的に判断して決定します。ですので、子どもさんが受ける治療が、ガイドライン通りでなくても、それは間違った治療ではありません。

最後に

小さな子どもさんが耳を痛がったり、耳を押さえて泣くときは、お母さん方は、中耳炎(かもしれない)と思ってください。
すぐに、かかりつけの耳鼻咽喉科を受診してください。中耳炎はとても痛いのです。

当クリニックでも急性中耳炎について掲載しています。ご興味がある方はお読みください。

耳が痛いのかしら?
(イメージです)
お母さん 耳が痛い…
(イメージです)