滲出性中耳炎は、耳鼻咽喉科に通院するたくさんの子どもさん、そのご両親にとって、非常に大きな疾患です。通院しても、なかなか良くならなかったり、よくなってもすぐに再発したり… 。
今回は、滲出性中耳炎とアデノイドの関連について書きたいと思います。
滲出性中耳炎、アデノイドは、それぞれ前回までのTopicsで取り上げています。
滲出性中耳炎とは
前回のTopicsでも説明しました。
滲出性中耳炎とは、“鼓膜に穿孔がなく、中耳腔に貯留液をもたらし難聴の原因となるが、急性炎症症状すなわち耳痛や発熱のない中耳炎” と定義されています。
(小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2022年版)
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/Category:Human_middle_ear
鼓膜の奥の図1 赤い部分🟥が、中耳です。
ここに炎症が起きると中耳炎です。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Otitis_media#Serous
中耳炎 Otitis media では、中耳腔 Middle ear に、液の貯留 fluid accumulation (紫色🟪)をみとめます。(図2)
滲出性中耳炎は、急性中耳炎から起こります。
急性中耳炎の炎症が消退したあと、中耳腔に滲出液が残ります。これが、滲出性中耳炎の正体です。
ポイントは、“急性中耳炎を除外すること” です。滲出性中耳炎は、“急性炎症症状のない中耳炎” と定義されています。
滲出性中耳炎は、いくつかの要因が複合して起こりますが、①起炎菌、②耳管機能不全、③鼻副鼻腔炎の存在が大きく関与しています。
①起炎菌
②耳管機能不全
③鼻副鼻腔炎
小児の滲出性中耳炎は、急性中耳炎から遷延して起こることが多く、多くはその経過中に急性上気道感染や鼻副鼻腔炎の増悪にともなって、急性炎症(急性中耳炎)を繰り返したりします。そのため、急性中耳炎と完全に区別して議論することは難しい面があります。
しかし、日本耳科学会では、小児の滲出性中耳炎を、急性中耳炎と完全に切り離して定義しています。その方が、滲出性中耳炎の治療方針についてより厳格でエビデンスに基づいた議論を行うことができるから、だと思います。
したがって2022年度に改定された、“小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2022年版” においても、滲出性中耳炎の定義の中で、“…、急性炎症症状すなわち耳痛や発熱のない中耳炎” と定義されています。
アデノイド
アデノイドは、上咽頭にあります。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Adenoid_hypertrophy
ピンポン球大のアデノイド adenoids が鼻腔の奥の上咽頭の空間を塞いでしまうために、鼻呼吸の気流がブロックされます。
高度の鼻閉の原因となるばかりでなく、結果的に口呼吸になってしまいます。
アデノイドが上咽頭で肥大した状態を、アデノイド増殖症と呼びます。
アデノイドは咽頭扁桃と呼ばれる、上咽頭のリンパ組織です。扁桃としての役割とは別に、さまざまな免疫応答を担っています。
ただし、滲出性中耳炎との関連を議論するときは、免疫応答への関与よりも、上咽頭に大きな占拠性病変が存在することによる影響がより重要になります。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Eustachian_tube
耳管(auditory tube)が中耳腔から咽頭へ開口している位置を、耳管咽頭口と言います。
耳管咽頭口( Entrance to auditory tube )は、上咽頭にあります。(図4)
” 上咽頭にアデノイドが存在する “ことで、耳管が閉塞しやすくなりますので、滲出性中耳炎は治癒しにくく、より難治性になります。
本当に、耳管閉塞?
小児滲出性中耳炎では、中耳の陰圧形成を起こす、耳管の閉塞だけがその病因と長く考えられてきました。
しかし近年、小児滲出性中耳炎では、逆に耳管が開放ぎみの症例が、比較的多く存在することがわかってきました。
耳管が開放している小児は、その不快感を和らげるために頻回に” 鼻すすり ” をします。” 鼻すすり ” によってわざと耳管をロックさせて(閉鎖させて)、中耳の陰圧を作り出すことで、滲出性中耳炎を起こしやすくしているのです。
耳管閉塞だけでなく、耳管開放が、小児滲出性中耳炎の病因として、注目されてきています。
大きなアデノイドが存在して、物理的に耳管咽頭口を塞いでいる小児においては、耳管の閉塞とは、すこし違う病態が起こっていることを理解しなければならないようです。
アデノイドは耳管を塞ぐ?
アデノイドが ” 物理的に耳管を塞ぐ ” ことによる、耳管閉塞の増悪は、従来から否定的に議論されていました。
誤解を恐れずに言えば、現在では、
アデノイドが ” 耳管咽頭口を直接閉塞する ” ことによる ” 耳管機能の増悪はない ”
と考えるのが妥当のようです。
それでは、アデノイドがあることは、滲出性中耳炎の難治化に全く関係がないのでしょうか。そうではありません。
むしろ大きく関係しています。
鼻副鼻腔炎
アデノイドが存在することで、高度の鼻腔通気の障害など、鼻副鼻腔炎が増悪しやすい鼻腔環境を作るため、鼻副鼻腔炎の起炎菌による経耳管感染を起こしやすくなります。
このため、アデノイドがあると、難治性の急性中耳炎を反復しやすくなり、急性中耳炎の急性炎症消退後に中耳腔に滲出液が貯留したままになって、容易に滲出性中耳炎の病態に移行しやすくなります。
アデノイドがあることによって、滲出性中耳炎は治癒しにくくなるのです。
このように、” アデノイドの存在は、滲出性中耳炎を起こしやすく、さらに治癒しにくくする “ ため、滲出性中耳炎の治療においては、重要なポイントになります。
しかしながら、小児滲出性中耳炎の病態は、従来考えられていたより複雑な要因が多く存在すること、が近年報告されています。
バイオフィルム形成
大きなアデノイドが存在することは、滲出性中耳炎の難治化の要因になり得ますが、耳管閉塞よりも、” 細菌感染によるバイオフィルム形成が、滲出性中耳炎のさらに大きな病因となること “ が、近年報告されています。
” バイオフィルム ” とは何でしょうか?
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%A0
バイオフィルムとは、細菌から細菌外に放出された多糖類(EPS)が細菌塊を覆う生体膜を形成したものです。
この膜によって、細菌は外界の過酷な環境から保護され、バイオフィルム内で細菌塊(コロニー)は増殖し、巨大化します。
さらに、バイオフィルム内では、他の細菌も生存しやすくなり、複数の細菌が死滅せずに生存を続けていきます。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%A0
アデノイドの存在は、物理的な耳管咽頭口との接触によって、閉塞による影響とともに、耳管咽頭口における細菌感染を起こして、細菌のバイオフィルム形成を促進します。
このバイオフィルム形成が、さらなる細菌感染を助長して、” 細菌感染巣 ” を形成し、耳管咽頭口の粘膜浮腫による耳管閉塞を起こしていると考えられます。
細菌感染
実際に、小児滲出性中耳炎の50%が、急性中耳炎から移行したものです。
滲出性中耳炎では、急性の感染は消退したかにみえますが、中耳からはライノウイルス、RSウイルス、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなど、急性中耳炎と同じウイルスや細菌が多く検出されています。
したがって、小児滲出性中耳炎においては、急性中耳炎と同じく、細菌感染がその主な病因であることがわかってきました。
これで、アデノイドによる物理的接触が
細菌感染を起こし、
バイオフィルム形成による感染の長期化が、
経耳管感染を持続させ、
小児滲出性中耳炎を難治化させている、ことが推測されます。
これが、アデノイドの存在が滲出性中耳炎を難治化させている、最大の原因ではないかと考えられています。
細菌感染と難治性中耳炎については、バイオフィルムも含めて、以前の Topics でも書いていますので、参考にしてください。
アレルギー性鼻炎
小児滲出性中耳炎では、滲出性中耳炎がある場合、アレルギー性鼻炎の合併率が5倍になることが報告されています。
通年性アレルギー性鼻炎の小児に、ダニアレルゲンによる鼻粘膜誘発試験を行うと、55%に耳管閉塞が認められた、との報告があります。(snoker et al. 1986)
アレルギー性鼻炎を合併する小児滲出性中耳炎の中耳貯留液中には、高い濃度のIL(インターロイキン)-4が観察されています。
このIL-4は、中耳腔でのムチンの産生を促していると考えられており、中耳腔の貯留液の粘稠度(ねんちょうど)に深く関与しているのではないかと思われます。
小児の滲出性中耳炎において、アレルギー性鼻炎の存在は、単なるアレルギー性の粘膜の腫れによる耳管の閉塞だけではなく、アレルギー炎症そのものが、滲出性中耳炎の発症に直接関係していると、現在は考えられています。
なぜ、治療するのか?
” 小児滲出性中耳炎の95%は自然治癒する ” とされています。
急性中耳炎から急性炎症が消退したあと、しばしば中耳貯留液が遷延しますが、発症3ヶ月以内に、75-90%が自然治癒すると報告されています。(Rosenfeld et al. 2003 , American Academy of Family Physicians et al. 2004 )
それでは何故、滲出性中耳炎を積極的に診断、治療するのでしょう。それは、
①中耳貯留液による難聴をできるだけ早く改善すること、
②鼓膜の病的変化とその後遺症を予防すること
にあります。
ここで言う、” 鼓膜の病的変化 ” とは、
①鼓膜緊張部もしくは弛緩部の高度な内陥、
②耳小骨の破壊、
③癒着性の鼓膜内陥、
と、定義されています。
これら ” 鼓膜の病的変化 ” を放置することによって、
癒着性中耳炎や鼓膜の接着(アテレクタシス)、鼓膜石灰化や鼓膜硬化、それに伴う難聴、
真珠腫性中耳炎への移行、など
将来にわたって耳疾患の治療を余儀なくされる病態への移行が、最も危惧されることになります。
癒着性中耳炎、鼓膜の接着(アテレクタシス)
(by Dr. Michael Hawke )
https://medtube.net/otorhinolaryngology/medical-images/28835-severe-atelectasis
鼓膜の石灰化、硬化
(by Dr. Michael Hawke )
https://medtube.net/otorhinolaryngology/medical-images/28136-tympanosclerosis
真珠腫性中耳炎
(by Dr. Michael Hawke )
https://medtube.net/otorhinolaryngology/medical-images/28137-cholesteatoma
このような病態への進行を最小限に抑えることが、小児滲出性中耳炎の治療において重要なポイントであると、現在考えられています。
2015年の診療ガイドライン
新しいガイドラインを読む前に、以前のガイドラインについて知らなければなりません。
小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年版
では、以下のような診療アルゴリズムが提唱されていました。
日本耳科学会の診療ガイドラインは転載禁止になっていますので、下記のサイトから直接、見に行かなければなりません。
この診療ガイドラインの16ページに、滲出性中耳炎の診療アルゴリズムが記載されています。まずは、ここを開いて16Pをご覧ください。
小児滲出性中耳炎の診療アルゴリズム(2015)
① 3ヶ月間経過観察を行います。
(watchful waiting)
② 3ヶ月経過しても、中耳貯留液が治癒しない場合、鼓膜の病的変化が観察されるかどうかを判断します。(片側性、両側性)
鼓膜の病的変化とは、
鼓膜緊張部、弛緩部の高度な内陥、耳小骨の破壊、癒着性の鼓膜内陥を指します。
③ 片側性では、鼓膜の病的変化が見られた場合、両側性では、鼓膜の病的変化が見られた場合または40dB以上の難聴がみられた場合、
鼓膜チューブ留置術を行います。
④ 鼓膜の病的変化が見られなかった場合は、すべて保存的治療に戻ります。
⑤ 両側性で鼓膜チューブ留置術の適応を認めた場合に、” アデノイド増殖症による上気道病変があれば “、アデノイド切除術を追加します。
現在までの、小児滲出性中耳炎診療ガイドライン(2015年版)は、このようになっていました。
3歳未満の乳幼児では、急性中耳炎の反復が多いため、滲出性中耳炎と診断しての診療アルゴリズムに当てはめるのが困難です。そのため、この治療ガイドラインが該当するのは、基本的に3歳から12歳未満になります。
さらに重要なことは、急性中耳炎の影響を極力除外するため、急性炎症症状の消失後3週間を経たもの、を対象としています。
鼓膜チューブ留置術単独と、アデノイド切除術+鼓膜チューブ留置術と比較すると、アデノイド切除術の同時手術は、鼓膜チューブ留置術のチューブ脱落後の再手術を減らす効果は認めましたが、滲出性中耳炎に対しては、鼓膜チューブ留置単独の治療と治癒率において有意差は認めないデータが多く報告されました。
したがって、3ヶ月以上遷延する滲出性中耳炎に対する外科的治療介入として、鼓膜チューブ留置術の単独治療が推奨されており、アデノイド切除術は、(アデノイドによる上気道病変が認められる場合以外は)推奨されないことになっています。
アデノイドによる上気道病変とは、咽頭扁桃炎(アデノイドの炎症)、後鼻孔閉塞、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を指します。
小児滲出性中耳炎診療ガイドライン 2022年
2022年、最新の “小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2022年版” が、日本耳科学会から発行されました。一般公開は未だですが、書籍としてはすでに刊行されています。
新しい小児滲出性中耳炎診療ガイドラインでは、従来の診療ガイドラインとの比較で、大きな変更はありませんでしたが、滲出性中耳炎の経過観察期間後の鼓膜チューブ留置術の適応がわずかに変更されました。
さらに、本投稿で書いている内容の、アデノイド切除術と鼓膜チューブ留置術の同時施行の適応年齢に関しての明確な記載が追加されたことは、注目に値します。
(診療ガイドラインの公開が未定ですので、申し訳ありませんが、現時点ではURLを指定できません。2023年1月現在、web上で公開されていません。)
新しい診療アルゴリズム
小児滲出性中耳炎診療ガイドライン 2022年版の主な変更点は、診療アルゴリズムの変更にあります。
変更点は、2つです。
① 3ヶ月間経過観察を行なって治癒しない両側性の滲出性中耳炎で、” 30dB以上の難聴 “ がみとめられるとき、鼓膜チューブ留置術の適応を考慮する。
(2015年のガイドラインでは40dB)
② アデノイド切除術は、4歳未満でアデノイドによる明らかな上気道病変がない場合は、滲出性中耳炎の初回手術としては推奨されない。
③ アデノイド切除術は、4歳以上で鼓膜チューブ留置術の再発率を低下させることが期待されるので、行うことを検討しても良い。
2015年のガイドラインでは、アデノイド切除術は上気道病変のみの記載があり、年齢には言及されていませんでした。
2022年の新ガイドラインでは、アデノイド切除術は、” 4歳以上で鼓膜チューブ留置術と同時に行うことを検討しても良いこと ” になっています。
口蓋扁桃摘出術は、滲出性中耳炎の治療にたいしては、行わないことが推奨されています。
アデノイド切除術は?
滲出性中耳炎に対してのアデノイド切除術の適応について、最新の小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2022年版から、抜粋しました。
ガイドラインの記載は慣れないとすこし難解かもしれませんので、簡単に書きます。
アデノイド増殖症が認められた場合、アデノイド切除術は、4歳以上で積極的に検討してよい。(つよく推奨されています)
4歳未満では、他に明らかなアデノイド増殖症の手術適応がない場合は、滲出性中耳炎の治療としては行わない。(つよく推奨されています)
4歳以上の小児滲出性中耳炎に対して、アデノイド切除術の治療効果が(再発率の低下に関して)、エビデンスとして確認されたため、得られた結論であると思います。
しかしながら、アデノイド切除術は全身麻酔で行い、1週間程度の入院を必要とする手術です。侵襲も少なくありません。
アデノイド切除術の適応は、耳鼻咽喉科の主治医とよく相談して決定するのが望ましいと思います。
診療ガイドライン付記
小児滲出性中耳炎の病因は多岐にわたります。
滲出性中耳炎の多くは急性中耳炎から発症し、急性中耳炎の病因と一致しているため、急性中耳炎の予防や治療へのガイドラインと重なります。
代表的には、以下、
①肺炎球菌ワクチン接種の推奨、
②インフルエンザ菌ワクチン接種の推奨、
③母乳による授乳の推奨、
④タバコの受動喫煙を禁止すること、
⑤仰臥位(あおむけに寝た状態)での授乳 (supine bottle feeding)をやめること、
⑥おしゃぶり使用の禁止、制限
などです。
( アメリカ小児科学会, アメリカ家庭医学会
“急性中耳炎診療ガイドライン”2013年改訂版
“The Diagnosis and Management of Acute Otitis Media” (AAP, AAFP) からの引用)
上記の米国のガイドラインについては、前回のTopics にも一部記載しています。
さらに診療ガイドラインには、以下の
①風船を用いた自己通気、
②高度鼓膜接着(アテレクタシス)例に対しての経外耳道チューブ(Sub-annular tube)留置術(SAT法)
などの治療方法も記載されています。
① 風船を用いた自己通気については、Topics
をご覧ください。
ガイドライン未記載の治療
近年、欧米で始まり急速に普及している、耳管狭窄に対する、Balloon eustachian tuboplasty (BET) は、2019年に日本でも薬事承認を受けました。現在、国内での承認は18歳以上ですが、欧米では小児に対する治療も広く行われており、ヨーロッパとくにドイツでは積極的に行われています。そのため、4-12歳の小児滲出性中耳炎に対してのBETの治療成績が報告されてきています。
この最新の治療方法などについても、国内での承認がとれ、日本での施行例が増えてくると、近い将来には、ガイドラインに記載されてくると思います。
Balloon eustachian tuboplasty
ガイドラインを読んで
小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2022年版を読んで、思ったことを書きました。
治療アルゴリズムの変更点は理解できたと思いますが、いちばん大切なことは、
滲出性中耳炎をなぜ治療するのか?
を知ることだと思っています。
滲出性中耳炎は正しく治療しないと、不可逆的な鼓膜の病的変化をきたし、
” 生涯にわたって耳の治療を継続していかなければならなくなる可能性 “ があります。
この事実が、ガイドラインの内容よりも、最も知っておかなければならないことだと考えています。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Eardrum#/media/File%3ATM_RIGHT_NORMAL.jpg
正常な鼓膜です。
正常鼓膜は薄さ0.10 mm 以下。半透明で中耳腔が透見できます。薄くても張力があり簡単に破れません。
この鼓膜が音によって振動します。鼓膜の振動は、耳小骨、内耳へと伝わり、音を感知することができます。
(by Dr. Michael Hawke )
https://medtube.net/otorhinolaryngology/medical-images/28834-severe-atelectasis-resembling-a-perforation-of-the-tympanic-membrane
鼓膜の病的変化です。
鼓膜緊張部が高度に内陥して、岬角(鼓室の壁)に接着しています。(アテレクタシス)
鼓膜の内陥が著しいため一見、鼓膜穿孔のように見えますが、鼓膜は連続しています。
ツチ骨周囲の鼓膜には白い石灰化部分が見られます。
今すべきこと
医学は日進月歩です。
診療ガイドラインは数年ごとに変わっていきます。子どもさんの滲出性中耳炎についての細かな質問は、かかりつけの耳鼻咽喉科医に聞けば、正しく教えてくださいます。
知っておくべき重要なことは、鼓膜の病的変化です。
滲出性中耳炎で子どもさんを診てもらっている、かかりつけの耳鼻咽喉科医師に、ぜひ聞いてみてください。
“この子の鼓膜は今、どうなっているのですか?”
と。きっと丁寧に教えてくださるはずです。
もう一度、見てください
もう一度、正常な鼓膜です。